介護職にチームワークが必要って本当?理由や改善ポイントを解説

公開日: 2023/05/30

チームワークはさまざまな業界で重要視されている要素であり、介護業界においても必要不可欠な存在です。ただ施設によってはスタッフ同士の連携があまり取れておらず、中にはストレスを感じる方もいるのではないでしょうか?そこでこの記事では、チームワークの重要性のほか、改善方法のポイントについても併せて解説します。

介護職におけるチームワークの重要性とは?

介護職の仕事内容は幅が広く、たとえば食事・排泄・入浴といった日常生活の世話だけでなく、家族やかかりつけ医へ連絡したり、日々の様子を介護日誌として記録したり、時には生活を充実させるためのイベントを計画したりなど、多岐に渡っています。

また、介護職の中には「ケアマネージャー」や「介護福祉士」「社会福祉士」など資格が必要な業務もあり、この点から見ると1人の高齢者を介護するには、多くの人達のサポートのうえで成り立っていることが分かります。

つまり介護の仕事とは仲間とのコミュニケーションが非常に重要な仕事であり、それぞれの担当分野が互いにばらばらに動いてしまえば、支援も充分にできません。

何より介護は1人のスタッフが24時間付きっきりで支援しているわけではなく、スタッフによっては利用者や家族への相性の問題もあるでしょう。そのため1人で支援を行うより、複数のスタッフで協力し合う方がサービスのクオリティが上がることはもちろん、事故の防止効果や、連携スピードの向上も期待できます。

また、チームでサポートすれば苦手な部分は補ってもらったり、得意分野は率先して請け負うことで士気も上がったりといった、スタッフにとってもチームワークの向上は職場環境の向上につながるのです。一方チームワークが悪くなるとどのような影響があるか、次の項目で詳しく見ていきましょう。

チームワークがよくない介護施設の共通点

チームワークがよくない介護施設の共通点には、以下の要素が挙げられます。

コミュニケーションが不足している

介護の現場のみならず、あらゆる職場においてコミュニケーションは業務を円滑に進めるためには必須であり、報告・連絡・相談といった基本のコミュニケーションから、利用者や家族への接し方も含め、介護職はコミュニケーションがとくに重要だといわれています。

しかしコミュニケーションが不足すると、スタッフ同士の信頼関係も築きにくくなるほか、情報共有の機会も減り、利用者の状態も把握しづらくなるなど、サービスの質を低下させてしまう恐れもあります。

たとえばある介護施設では利用者の家族が訪れた際、腕を見るとアザが付いていたため「手荒に扱われているのではないだろうか」と不安に思われたことがあります。幸い後でスタッフが家族にあざが付いたのは体位交換の際、ベッドの手すりに手をぶつけたのが理由で、体位交換は非常に力がいる業務であると説明を受けたことから誤解は解けたそうですが、一歩コミュニケーションを誤れば家族への信用をなくしてしまう事例に発展していました。

ほかにもコミュニケーション不足はスタッフのやる気を低下させ、施設全体の雰囲気を悪化させるだけでなく、最悪離職につながってしまう恐れもあるなど、さまざまなトラブルを引き起こす恐れもあります。

チームワークへの理解が低い

前述したように介護職は1人の利用者を介護士も含め、医師や介護福祉士など、さまざまな人たちがサポートしています。しかし施設によっては自分の業務を優先するあまり、スタッフやほか職種への連携をおろそかにしている個人主義的な施設もあり、こうした施設はスタッフ同士の人間関係を悪化させるだけでなく、連携も不足しているため適切な支援が得られず、結果的に利用者の心身を低下させてしまう恐れもあります。

このように個人主義が蔓延している場合には、介護は複数の人たちのサポートのうえで成り立っていると認識してもらう必要があるでしょう。

チームワークをよくするための改善ポイント

チームワークを改善させるためには何よりもコミュニケーションを積極的に行い、スタッフにとって働きやすい雰囲気を作っていくことです。コミュニケーションが円滑になれば、前述したように連携がスムーズに進みやすくなるほか、スタッフのモチベーションアップなど、サービス向上や働きやすさにつながるようになります。

とはいえコミュニケーションが不足している施設の場合、コミュニケーションを積極的にとるようにいわれても、実際はなかなか難しいのが現状でしょう。そこでおすすめの方法が、スタッフ同士が話しやすい機会を設けることです。

具体的には10分ほどの短いミーティングを定期的に行い、利用者の日常生活で気になることや、体調に変化がないかといった進捗状況や、今後の課題などについて話し合うようにします。

こうすれば情報共有も行いやすくなるほか、さまざまな意見を出し合うことでコミュニケーションの活性化にも期待できるでしょう。ちなみにコミュニケーションにおいてもっとも重要なのは意見を出すことではなく、相手の価値観を理解し、尊重することだといわれています。

人はそれぞれ違った考えを持つように、介護に対しても異なる認識を持っています。意見や仕事のやり方が違っていたとしても、まずは相手の立場に立ってうえでコミュニケーションをとることがチームワーク改善の大きなコツです。

まとめ

介護職においてチームワークはとくに重要な存在です。チームワークが良好な施設はスタッフ同士の連携が強く、互いにフォローできたり、やりがいを感じたりといった理由で施設全体の雰囲気もよくなりますが、チームワークが悪い施設は利用者の状態も把握ができず、サービスの質が低下したり、時にはトラブルにつながる恐れもあります。

こうした事態を防ぐためには、何よりもコミュニケーションの機会を増やし、お互いが気持ちよく働ける環境を作っていくことが大切です。もしコミュニケーションが不足している施設であれば、定期ミーティングを開き、積極的にコミュニケーションをはかることで、何か改善できることがないか探ってみましょう。