介護福祉士からステップアップする方法とは?転職や資格取得のコツ

公開日: 2023/09/15

どんな業界にも現場レベルで活躍する職種はあるもので、介護の分野では、介護福祉士こそがその役割を担っています。介護福祉士として働くうちに、将来的なステップアップを考える人もいることでしょう。今回の記事では、そんなみなさんのために、転職や資格取得について解説します。今後の参考にしてみてください。

介護福祉士からのステップアップにおすすめの資格

数年以上も介護職を経験すると、そろそろステップアップしたい、と願う人もいるはずです。まさに資格取得のタイミングといってよいでしょう。

役に立つ資格はいくつかあります。まず紹介したいのは、ケアマネージャーです。主な仕事は、できる限りの自立生活を目指したうえで、要介護、要支援に認定された人たちのケアプラン全般を作成し、マネージメントすることです。

さらに、家族を含めた利用者、市町村、サービス事業者、三者の間の調整役としての機能も果たしています。総合的な視野のもと、きめ細やかな心配りが求められるポジションです。

資格取得条件は2通りあります。ひとつは、生活相談員、支援相談員、相談支援専門員、主任相談支援員の業務を5年以上経験し、900日以上の従事日数があることです。

2つ目は、医師をはじめ、看護師、社会福祉士、管理栄養士などの国家資格に基づく実務経験が5年以上、従事日数が900日以上を有することが該当します。

次におすすめなのは、認定介護福祉士です。2015年12月に一般社団法人認定介護福祉士認証・認定機構がスタートさせた民間資格という位置づけになります。

施設や事業所のサービスマネージャーという立場で、5~10人程度の介護班に対して、教育指導するのが主要な業務内容です。資格取得条件は、約1年半、600時間の研修期間と、介護福祉士を取得してから実務経験が5年以上となっています。

さらに、認知症ケア専門士も民間資格のひとつです。文字どおり、今や社会問題になっている認知症に特化した資格であり、高度な専門知識や対応力を活かすスペシャリストといえます。約3か月におよぶ100~150時間の研修期間、認知症ケア関連の施設あるいは団体で、直近10年のうち3年以上の実務経験を有することが、資格取得への前提条件です。

介護福祉士からのステップアップに必要なスキル

今後の飛躍のためにも、スキルアップも視野に入れるとより効果的です。そのひとつに、喀痰吸引等研修があります。喀痰吸引等研修とは、痰吸引と経管栄養、両方できる介護職員の養成研修のことです。

高齢者になると、喉の筋肉の衰えにより飲み下す力が弱くなり、痰が溜まりやすくなります。死亡率が高い誤嚥性肺炎につながる怖れもあり、ケアが必要な分野です。痰吸引とは、そういった危険性を取り除く医療行為にほかなりません。

一方、経管栄養は、口からものを食べられなくなった人に対し、鼻や口からチューブ、あるいは胃ろうを通じて、栄養を胃や腸そのものに送り届けることをいいます。種類は、経鼻栄養法や経口栄養法、胃ろうによる経管栄養方法などです。

喀痰吸引等研修は、基本研修と実地研修の2つを修了することにより、医師の指示下での痰吸引と経管栄養ができるようになることです。基本研修の場合、講義は50時間、演習は項目ごとに定まった回数をこなす必要があり、実地研修では、口腔内の喀痰吸引を10回以上、経鼻や胃ろうによる経管栄養などを20回以上訓練しなければなりません。

ちなみに、研修費用は、約6~15万円が目安となっています。喀痰吸引等研修は、介護業務の幅が広がり、より条件のよい転職先に移るうえで、大きなメリットになることでしょう。

介護福祉士からのステップアップにおける転職のメリット

希望する資格を取得し、スキルアップを重ねていくと、介護福祉士からの転職を考えるのも自然な流れです。同じ福祉関連でいうと、介護老人福祉施設や介護老人保健施設、有料老人ホーム、デイサービスなどがあり、さらに独立、開業を狙う選択肢もあります。

もちろん、医療行為も行える看護師や教育に携わる保育士、心の問題を扱う心理カウンセラーなど、異業種へのチャレンジも可能です。

転職でステップアップするメリットは、収入アップが見込める点がいちばんでしょう。たとえば、同じ業界でも介護福祉士とケアマネージャーでは、月収で数万円の開きがあります。

給料の面だけでなく、転職によって責任の重い仕事を任せられると、プレッシャーもある反面、今までとは違うやりがいが生まれてくることもあるかもしれません。もし福祉とは異なる業界で働くことになれば、新しい体験を通して、知識や技術を学べるうえに、人との出会いも増えてきます。

まとめ

介護福祉士は、介護現場でのエキスパートといえる職業です。数年に渡って仕事に習熟してくると、ステップアップが頭にちらつくこともあるでしょう。

ケアマネージャー、認定介護福祉士、認知症ケア専門士、医療介護福祉士などの資格を取得すれば、別の道が開けてきます。場合によっては、看護師や保育士、心理カウンセラーといった異業種への転身も見えてくるかもしれません。今回の記事をきっかけに、これからのライフプランを検討してみてください。